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Kromasil EternityXT
Kromasil EternityXT製品概要
厳しい要求に応える分取HPLC用充てん剤
Kromasil Eternityは数年前に分析用HPLC充てん剤として開発されました。Kromasil EternityXTはEternity充てん剤のポートフォリオを拡張し、過酷な分取アプリケーション用として開発された10μm、C18充てん剤です。
EternityXTには特許申請中の充てん剤表面グラフト技術が採用されています。Eternity充てん剤の製造技術を改良し、過酷な使用条件におけるカラム寿命がさらに改善されています。EternityXT充てん剤はpH1から12まで使用可能であり、ラージスケールのアプリケーションを最適化する際により多くの分離条件が適用可能な柔軟性を有しています。
- 充てん剤の化学的安定性 → カラム寿命の増加 → 分取コストの削減
- 高pH移動相中でのクロマト性能が高い → 分離選択性の改善 → カラム負荷容量の増加
- 高pH移動相によるカラム負荷容量の増加 → 生産性の向上 → 製造コストの削減
- 高い機械的強度 → カラム寿命が増加 → 分取コストの削減
分離コストが削減できます!
Kromasil EternityXT充てん剤は化学的及び物理的安定性に優れ、非常長いカラム寿命を実現します。
芸術的領域の化学的安定性
従来のシリカゲルを基材とする逆相充てん剤の多くは、pH 7.5-8.0が上限であり、高いpHの移動相中ではシリカゲルが溶解し始めました。
初期kromasil 逆相系充てん剤はこの上限をpH9.5まで引き上げ、条件によってはさらに高いpHで継続的に使用が可能となりました。
pH12の実現へ
Kromasil EterntyXT充てん剤では、界面濃度勾配を持つ有機-無機ハイブリッド層に適切なC18表面修飾を行う新しいEternityXTプラットフォームにより、継続的に使用可能なpHが12まで引き上げられています。このため単離精製やスケールアップのための分離手法開発には、pH 1~12の移動相が長期間使用可能であるという柔軟性が得られます。
指先一つの柔軟性
合成医薬品の有効成分の多くは塩基性であり、高いpHの移動相中ではカラムへの負荷量が増加しますので、生産性も大きくなります。塩基性ペプチド、オリゴペプチドやペプチド核酸等もまた、高pHの移動相を用いる分離メソッドが有利です。
さらにKromasil EternityXT充てん剤では、必要に応じて1MのNaOHでカラム内を消毒、洗浄することも可能です。ポリマー充てん剤を用いたバイオクロマトグラフィーでは、標準的に1MのNaOHでカラムを洗浄しています。
Kromasil EternityXTを用いれば、実質的に全てのpHレンジで分離手法開発が実施でき、以前はポリマー充てん剤のみで行われていた消毒、洗浄法も柔軟に適用することが可能になりました。すなわち、高いクロマト性能と高pHにおける安定性の両方を利用することができます。
長期間の化学的安定性
上図は低pH、高pH移動相中の長期間化学的安定性を評価した結果です。低pH条件(80℃の高温、95%もの高い水含量、pH約1.9の0.1% TFA含有移動相)は非常に長い期間の安定性をシミュレートしています。ハイブリッド充てん剤は長期間に渡り保持の減少は小さく、高い安定性を示しています。
高pH条件では60℃、高含水量の炭酸緩衝液(pH10.5)を適用しています。シリカゲル充てん剤は特に炭酸緩衝液中での劣化が著しいく、保持は大きく減少しています。一方Kromasil EternityXTでは高密度のC18表面処理とシリカ基材を保護するEternityXTプラットフォームにより、保持の減少は僅かでした。
化学的安定性(カラム内洗浄条件)
ポリペプチドやタンパク精製においては、充てん剤に不可逆的に吸着した不溶成分を除去するため、高いpHの移動相でカラム内を洗浄します。
上図は一連のカラム内洗浄サイクルを適用した後の保持時間の変動とカラムから溶出したシリコン量を検討したものです。EternityXTはポリマー充てん剤で標準的な洗浄溶媒(1M NaOH)でも高い化学的安定性を示しますが、他社相当品C18充てん剤では既に0.1M NaOHの様な低い濃度で著しい充てん剤の劣化が認められています。
クロマト性能の比較 – Kromasil EternityXT vs ポリマー充てん剤
ポリスチレン(PS/DVB)充てん剤は高い化学的安定性を示すため、1M NaOHを含むカラム内洗浄が実施できます。しかしポリスチレン充てん剤ではシリカゲル充てん剤に匹敵するクロマト性能を得ることはできません。
このクロマトグラムは業界標準のポリスチレン系充てん剤とKromasil EternityXTを比較したものです。分取スケールのインシュリン分離を比較したクロマトグラムより、シリカゲルを基材とするKromasil EternityXTのピークは非常に狭く、ポリスチレン充てん剤のピークの約50%程度のバンド幅でした。分析時のカラム効率やカラムへの負荷容量もKromasil EternityXTの方が、はるかに優れた結果を示しました。
上図の結果より、Kromasil EternityXTではシリカゲル充てん剤の高い分離効率と同時に高pH移動相での安定性も得ることができます。
高pH移動相中でも優れたカラム性能
Kromasil EternityXTはpH 1から12まで使用でき、以前よりも柔軟に分離選択性と負荷容量の最適化が可能です。
分離性能を低下させる要因
イオン性の医薬品はイオン化の程度により保持時間が大きく異なります。よって移動相のpHを調整すれば、異なる医薬品成分の分離最適化が可能です。
医薬品の逆相クロマトグラフィー分離におけるもう一つの問題は、カラムへの負荷容量が小さいため、生産性も低くなり、低コストの製造プロセスが設定できないことです。多くの場合医薬品成分は塩基性であり、低pHや中性の移動相ではプロトン化されていることが要因と考えられています。
これは溶質成分が正に帯電した状態で存在するとカラムへの負荷容量が非常に小さくなり、負荷容量を少なくしてもピークバンド幅は大きくなることを意味しています。
さらに高レベルの分離のために
この問題の解決には高いpHで分離を行うことが有効です。塩基性医薬品成分は非解離型の中性分子となり、カラムへの負荷容量もはるかに大きくすることができます。カラムへの負荷容量が高くなれば、生産効率も高くなり低コストの精製プロセスを得ることができます。
EternityXTを用いれば、pH 12程度のpHでもラージスケールの分離を長期間実施することが可能です。
高pH移動相による分離の改善
この2つのクロマトグラムはアニリン類の分離ですが、分離メソッド開発において、ほぼ全域のpHレンジが使えることのアドバンテージを示しています。
低pH(pH 2.5)では5,7と3,4のピークの分離が不十分です。しかし、高pH(pH 10.5)では全成分を容易に分離することが可能です。
β-ブロッカーの分離スケールアップ
このβ-ブロッカー類の分離例は分析スケールで設定した分離メソッドが分離効率を損なわずに分取スケールへと移行できる可能性を示しています。
我々は、内径4.6mmまたは10mmのカラムを用いてメソッド開発を行い、スケールアップ時に予測されるカラム性能データを用いることを推奨しています。軸圧縮(DAC)カラムではラージスケールの分離でも分析時の分離を再現することが可能です。
高pHの移動相による負荷容量の増加効果
高pHの移動相を用いた塩基性化合物のカラム負荷容量の増加。(ジフェンヒドラミンをpH 3.7及びpH10.5で分離した結果)低pHの移動相ではジフェンヒドラミンはイオン化され、カラムへの負荷容量を低くしてもピークのバンド幅は大きくなります。
同じ負荷容量のジフェンヒドラミンを高pHの移動相で分離すると、非常にシャープなピーク形状が得られ、オーバーロードの傾向は認められません(右上のクロマトグラム)。高pHの移動相条件で、低pH条件と同様のバンド幅を得るには、カラムへの負荷量を160倍まで増加させる必要があります。従ってカラム負荷容量は160倍以上増加したことになります。
長期間変わらない耐圧性
1980年代後半、kromasilは高い有効表面積と機械強度を両立させ、ラージスケールや工業スケールのクロマト分離に革命をもたらしました。Kromasil EternityXTはこの技術を基礎として、さらに性能を向上させています。
Athletic power(高い運動能力)
初期のKromasilは、試料負荷容量の非常に大きい生産性の高い充てん剤であり、特に軸圧縮カラムにおける高い機械的ストレスに耐える強度を有しています。
Kromasil EternityXT充てん剤はさらに高いレベルの機械的強度を持ち、同様の表面積すなわち高い試料負荷容量を持っています。Kromasil EternityXTは物理的、化学的に優れた性能を持つ分取用充てん剤です。
さらに強く!
Kromasil EternityXTは100ÅのKromasilシリカゲルを基材としています。Kromasilは完全な真球形状を持ち、さらに適切な処理を行って基材を強化しており、非常に高い機械的強度を示します。
Kromasil EternityXTでは新しい有機/無機プラットフォームにより、さらに高い機械強度を実現しています。
機械的安定性試験による充てんベッド圧力評価
カラムから充てん剤を抜き取らずに、繰り返しのカラム充てんをシミュレートするため、ピストン圧力を連続的に増加させる試験法を適用しています。カラム背圧の増加は、繰り返しの充てん操作による充てん剤の破壊、劣化の指標となります。